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モデルのボーダー隊員~番外編~

第3章 年中行事〜クリスマス〜


クリスマスパーティーは千佳ちゃんと陽太郎の寝息と共にお開きとなった。
陽太郎は遊真君が、千佳ちゃんは栞が部屋まで運んで、残ったメンバーで後片付けをする。
数名睡魔やお酒のせいで作業が止まっていたので、無理せず休むよう言うと部屋へと戻り、残ったのは僕・京介・栞・悠一・遊真君だった。

「京介と栞ちゃんは寝なくて大丈夫?」
「俺はバイトで慣れてるんで」
「アタシも徹夜で慣れっこだよ!迅さんは?」
「まだまだ動けるぞ」
「その割には眠そうだよジンさん」

遊真君の一言でバレたかと頭を搔くが、寝る気は無いらしい。仕方ない、手伝ってもらおう。

成人組は悠一と京介にそれぞれ部屋まで運んでもらい、残った3人でリビングとキッチンの片付けを進める。片付けついでに、遊真君にゴミの分別について栞が教えていた。
僕は洗い物を中心に片付けていたが中々減らない。10人以上の食器とその他大皿は、食洗機を使ってやっと置くスペースが確保できた。
成人組を寝かせに行った2人も参戦し、普段の何倍もの時間をかけてリビングとキッチンの片付けは終わった。

「お疲れ様。早く休んで明日も元気な顔見せてね」
「明希ちゃんもね!おやすみなさぁい!」
「おやすみなさい」
「オヤスミ」

3人がリビングを出た後、未だにソファから動かない悠一に「戻らないの?」と問えば「明希もね」と返される。どうやら、考えている事は同じようだ。

「「メリークリスマス」」

どちらからともなく発せられたその言葉は、慈愛と親愛に満ち、何よりも暖かいものだった。
数年離れていたからこそ、互いの存在があれば今の僕達はそれでいいと思える。
特別なプレゼントはいらない。
異性としてとかそういうのじゃない。僕達にとっては互いが何よりも大切な存在で、生きる意味になる。

「生まれて来てくれてありがとう。悠一」
「俺の方こそありがとう。ボーダーに、俺の側に戻って来てくれてありがとう。これからも、ここに居てくれる?」
「当たり前だよ。もう誰の前からも消えたりしない。悠一や、みんなの笑ってる顔が見てたいから」

悠一が腕を広げて、僕はその腕の中に入る。
確かな温もりと安心を感じながら、僕は目を閉じた。



聖夜は恋人同士で過ごすのが最近の風潮として多いらしいが、僕達は友達や家族と過ごすのと同じように、目の前の大切な人と聖夜を過ごす。

聖なる夜を君と共に
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