第9章 闇 報告
「なぜ、知ってる…」
カカシはつぶやく。ヤナギは、たしかに、前日待機で任務に出ていない。しかし暗部本部で待機しなければならない。
焦臭は把握できても、燃えた場所までは
わからないはずだ。
テンゾウも知らない。暗部ろ班、だれも、花奏の家が燃えたことを知らなかった。
「カカシ、ヤナギがやったんじゃないのか? タイミングが良すぎないか?」
イビキに言われ、カカシは、いやな汗が流れた。
オレが憎いはずだ。
なぜ、花奏の家を燃やした?
「カカシ、ヤナギの拘束はまだなのか?」
イビキがカカシに言ったときだった。
もう一度ノックが入る。
扉を開けた。イタチとテンゾウであった。顔面蒼白な2人の表情に、その場にいた3人が固まった。
「カカシ先輩……、すみません。逃げられました。 正確には、ヤナギが逃げるのを、指をくわえて見ていました」テンゾウが言う。
……は?
「……なにを言ってる。 なにがあった……⁈」
とカカシが言って、近くに寄ったとき、目に映ったのは、イタチとテンゾウの後ろに立つ、ボタンと、夕顔、そして、暗部ろ班メンバー10名だった。
首には、キラキラと輝く氷の首輪がつけられている。
カカシは、またたく間に、血の気が引いた。
ヤナギの技だった。
一度でも、相手の体に触れたことがあるならば、
技を発動できる。 イタチは、喉に引っかかるものを吐き出すように言った。
「ヤナギは、追いかけるならば、ここにいる、暗部ろ班全員の首を飛ばす、と言って去った。そして、オレやテンゾウにも、同じように発動させた……」
首に光る氷の首輪をイタチは見せた。
遠く離れた場所からも発動させ、爆破することが、ヤナギにはできた。その破壊力は首どころか身体が木っ端微塵となる。
カカシは、背筋が凍りつき、言葉を失った。
「カカシ!!」
突然聞こえた声は、暗部たちの足の隙間から。パックンが走ってカカシの肩に飛び乗る。
「花奏が!」
パックンが発した瞬間、
カカシは、火影室を飛び出して走った。
背中から、三代目やテンゾウから停止を求める声が聞こえたが、無視した。カカシは焦燥にかられ、必死になって向かったのは、花奏が眠る自分のアパートだった。