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【NARUTO】柔らかな月を見上げて

第29章 始まり


翌日の朝、私とカカシは婚姻届を持ちアカデミーへむかった。紙切一枚で結婚できるなんて、不思議な感覚だ。


「緊張するね、なんか」

心音が早まる。ドキドキするのだ。横を見上げた。となりに並ぶカカシは、私の方を見て、目を細めて優しい顔で微笑んでくれた。

「んーまあね。紙出すだけなのに、神妙な気持ちになるね」

私の頭に大きな手が頭に重なり、
ポンポンと撫でた。

「……カカシも少し緊張してる?」

私が聞くと

「当たり前でしょ」

苦笑いの返事が戻った。


火影室の扉前に立つ。護衛2人に挨拶して軽快にノックした。



「「三代目、失礼します」」


火影室の扉をひらくと、正面の長机の両隣りに積み上げた書類がそびえる。その真ん中に座る三代目は、巻物を広げ、筆で文字を書いたり、せわしなく大きな印鑑で押印していた。

猿飛さまが動きをとめて、
顔をあげる。


「……カカシと花奏、なにか用か?どうしたのじゃ」

三代目が喋った瞬間に気づく。煙りの匂いがしないのだ。ましてや机の上に灰皿がない。あり得ない。愛用のキセルが見当たらないのだ。信じられない。珍しい。

……いま禁煙中だろうか?

思案していたら、
カカシが三代目の方に歩を進めた。


「三代目、大変忙しいところ申し訳ありません。提出書類をお持ちしました。ご確認お願いします」

カツカツと両脇に抱えた松葉杖で進むと、真ん前に立ち、婚姻届を両手で渡した。


「花奏と正式に結婚を認めてください。婚姻受理押印お願いします」

真剣な眼差しで、まっすぐに猿飛さまに伝え、カカシはそのまま深く頭を下げる。

頭を下げる姿を見て、
慌ててとなりに立ち、同じ姿勢になった。

「ささ三代目、よ、よろしくお願いします」

肝心な場面で噛んでしまうのが私。大した言葉でもないのに、カカシと大違いだ。「お願いします」もう一度言い直した。

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