第28章 お弁当
ピーー……と、炊飯器から
米の炊けるメロディが鳴る。
情事後、疲れた私とカカシは
ぐっすり良眠していた。
私だけ先に起きて夕食を作ってる。台所を借りて、野菜と豚肉をフライパンで炒めている最中だ。
ジュウジュウと熱した油が弾く。事前に作った焼肉のタレを肉と野菜に加えると、香ばしい煙りが上がる。換気扇がクルクル回る。木製のヘラで炒めてコンロの火を止めた。
「よし、完成かな」
冷蔵庫の扉を開いた。ラップのついた陶器を取り出す。中身は大根と胡瓜のさっぱり甘酢漬物だ。先に下ごしらえをしていたのだ。
窓からオレンジの光が差し込む。
遠くの空は薄暗くなりつつあった。
欠けた月も顔を出す。
半月に向かう形だ。
カカシはベッドで横になって
気持ち良さそうに寝息をたてた。
「いっしょにやるよ」
そっと身体を起こして服を着ていたら、カカシが目を覚ました。
私はすぐに首を振った。「ううん寝てていいよ。ゆっくりしてて」と申し出を断った。
ろ班隊長であるカカシが、いちばんチャクラや体力を酷使した。意識を失う限界まで使い切ったのだ。
左目の写輪眼を使いすぎると、1週間は満足に動かせない。
ましてや、今回の戦いは、私を庇った深傷を負った。その傷は肺にまで達する大怪我だ。
極限まで酷使したカカシの身体を正常な状態に戻すためには、まだ時間がかかる。リハビリも必要だが、いまは安静にしなきゃいけない。
もっといえば、情事なんてしちゃダメなの……。求めてしまって……流されて……ダメな私だ。……うう。
とにかく!カカシに必要な治療は安静に過ごすこと。三代目も「くれぐれも休めよ」退院前も念押しされていたのだ。
今まで休みもほとんど取らずに働き詰めだった。だからカカシにはゆっくり休んで欲しい。でも。元気になったらまた頑張って欲しい気持ちも交差した。