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【NARUTO】柔らかな月を見上げて

第27章 退院後


「カカシ、墓参りしてから
お家に帰ろっか」


翌日、病院を退院後に
サスケ君から貰った花束を抱えた私は
カカシに提案してみた。

最近行けてない。
今月の月命日も過ぎてしまった。

両脇に松葉杖で歩くカカシは
足を止めて
木ノ葉霊園に続く路地を見やった。

石だたみの平らな道が続く。
ここから徒歩10分のところだ。


「ああ……そうだな。最近行けてなかったしな」

雲ひとつない澄んだ青空を
見上げたカカシは、ニコリと目を細めた。

「じゃ、花とか線香も買わなきゃな」

「あ、そうだね」

山中家の花屋に
ふたりで立ち寄った。

途中で線香とろうそく。
あとマッチも買った。

カカシがビニール袋を持って、
私は花束を抱える。

たくさんだ。

サスケ君にもらった花束と
花屋で買った仏花。

白や黄色、緑色の
丸い菊が、冬の季節花といっしょに
添えられる。

フォルムがまん丸で
見た目が可愛い。
名前はピンポン菊。

日持ちが良くて
私のお父さんも母の墓参りには
よく好んで購入していた。



古びれた石段をのぼれば、見晴らしの良い広場が見えてくる。

端には
木ノ葉霊園と書かれた
看板が立ち、
桶や柄杓が置かれる。

規律よく並ぶ墓の花立には
仏花や故人の好きな花が
たむけられている。

いま、早朝のせいか
参拝客は数人だけだった。



「水、入れるね」

看板近くに設置された
水道の蛇口をひねり、
桶に水をはった。

その中に購入した
仏花も入れた。

日差しが水を反射する。
日の照る場所は暖かくて
気持ちよかった。


水桶を半分ぐらい入れてから
私が運んで歩くと、カカシが見ていた。


「花奏、悪いね。重くない?」

「うん。大丈夫だよ」

桶を持ちながら歩くと、
仏花と水が当たって
ちゃぷちゃぷと水音が鳴った。


「オレの親から行っていい?」
「うん。いいよ」

私が快諾すると、カカシは目を細めて
両親の眠る墓に足を運んだ。

カカシのおうちの
立派な墓石が見えてくる。


墓石の竿石(さおいし)には
「はたけ家乃墓」と刻む。


サクモさんは自宅で
息を引き取った。

カカシのお母さんと
同じ場所で安らかに眠る。


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