第23章 戦闘と平和の狭間
「今回犠牲者に、一般人の子供が亡くなったんだが、その子はな、火の国の高貴な血族の御子息だった。お忍びで街へ来ていたらしい。火の国幹部は大変御怒りだ。何としても、潰せと、命令された」
常に上層部の命令一つで忍は動く。
潰せ。簡単に言ってくれる。
火の国幹部は、今回の任務で
破格の依頼料を木ノ葉へ提示した。
依頼内容は、「壊滅させろ」
その一点のみであった。
カカシは言葉を選びながら
話す。
「ただな、雪ノ里をこれ以上放置するわけにもいかない。時期は最悪だが、オレも、遅いと感じている。次は木ノ葉の首を取ろうと、雪ノ里の忍達は準備を確実に進めていたからな」
確信して言うカカシは
ハギの方を見る。
彼女は凛とたたずみ真っ直ぐにカカシを見返す。偽りのない瞳が映った。
ハギの潜入調査の報告を、度々カカシは受け取る。花奏が媚薬で侵される以前から、その調査を継続させてきた。水面下では徐々に激化させ、最後に報告を受けたのは今朝方だ。
"猿飛ヒルゼンの首を狙う"
それは念蜜に練られた
木ノ葉火影暗殺計画だった。
殺害計画の詳細を記した報告書は、3代目猿飛ヒルゼンの重い腰を上げる、最後の決定打となる。
「よし」とカカシは自分の太ももを叩き気合いを入れる。そして大きな声で続け、真剣な瞳で見渡した。
「任務について、お前らに伝えておきたいことがある。命は大切にしろ。それから死に急ぐな。万が一危ない場合は、すぐにオレを呼べ。わかったな」
「「はっ!!」」
統率された返事を聞くとカカシは親指を噛み切る。すぐさま地面に掌を押し当てた。
口寄せの術‼︎
弾ける音と、白煙が広がる。中から8頭が飛び出した。カカシの肩にパックンが飛び乗った。