第23章 戦闘と平和の狭間
花奏と別れたあと、すぐに阿吽の門に向かった。見えた門に、すでに人集りが出来ていた。カカシの目は細まる。
……早すぎでしょ。
集合時間より30分以上前に到着したはずが、自分がいちばん最後だった。
暗部の精鋭中心部隊、い班、ろ班、全部で30名が大集結している。
木ノ葉に残る暗部は、3代目の護衛暗部2名。そして花奏だけ。
イタチやヤナギの穴は確かにデカイ。
だが、集めたメンバーは最強だと断言しても過言ではない。
「気合い入ってるな、お前ら」
狐面に暗部服に身を固めたカカシは、近くに歩き、すでに獣面をつけた仲間を見渡す。覚悟は決めた。
だが。躊躇は残る。
この仲間のうち、何名が木ノ葉に帰還出来るだろうか。
カカシ自身、保障はない。むしろ最前線で闘う身。死ぬ確率の方が高いだろう。最悪の結末は全滅すること。それだけは避けたい。カカシは強く奥歯を噛んだ。
「カカシ先輩」
「ん、なんだ?テンゾウ」
「今回なぜ、3代目は号令を出されたのですか」
猫面を装着させたテンゾウが
輪の中心にいるカカシのそばへ寄る。
納得していない。尖る言葉の端々から滲んだ。返答を待たずに、テンゾウは続ける。
「確かに、今まで幾度も雪ノ里の毒牙にかかった。今回、数十名亡くなった人々を考えれば、撲滅という結論に至るのは仕方ないでしょう。しかし。それでも、この任務のリスクは高い」
アスマやガイ、紅はS級任務。
彼らは任務後、可能ならば合流する予定だが、身体の負担を考えれば可能性は低い。
任務終了後、木ノ葉の軍事力低下に繋がるのではないか。なぜ、うちは一族を失った今なのか。テンゾウは、自分の不安や考えを率直に述べた。
カカシは話を最後まで聞くと、数回縦に頷く。テンゾウの言う通りだと思ったからだ。
「そうだな。テンゾウ、お前の指摘通りだ。リスクの方が高い。うちはの力を失った木ノ葉は、今が攻め時だと、囁かれているのも事実だからな」
カカシは、
はっきりと言い切る。
自ずと、その狐面から見える瞳に、
影が出来ていた。