第6章 アジトへ
ぽつぽつと、肩に水滴が当たる。任服が濡れてゆく。
「っ!……」
雨が降り出してきてしまった。最近ずっと晴れていたのになぁ。
お面の中で、憂鬱に顔を顰めてしまう。
私は雨があまり好きではない。
いつも楽しい思い出は、晴れた日ばかりが多かった。
今、季節は冬。12月上旬の天気。
雨に打たれながら、待機するのは流石にみんな凍える。
あまり時間は、かけたくないのは全員同じだろうな。
カカシは徐々に降りしきる雨空を見上げ、また前を見つめた。
今いる場所から数十メートル先に、隠れ家である小屋がある。
不審な動きが無いか、動向を探る。今のところ、他に仲間がいるように見えない。
小屋の窓から見える大男。あれがビンゴブックに載る男だ。顔には無数の傷があり、ビールを飲んで他の盗賊達と談笑中だ。盗賊達は金を数え、下品な笑みに歪ませる。
「アイツは毒を扱う巧みに扱う。じわじわ身体を痺れさせて、爆札を使い、なぶり殺すのが好きな野郎だ」
狐面をつけたカカシは、声を曇らしたような声を吐き出す。
「趣味が悪過ぎ……」
出すつもりは無かったのに、つい声を出していた。
カカシはあの男と、一度13歳の時に一戦を交えた経験があるらしい。
痛手を負わされ、手も足も出せなかったようで、今もう一度戦えば、また違う結果になると思う。とカカシは付け足す。
「先輩、チャクラを調べましたが、3人で一気にかかれば問題は無いと思います」
テンゾウが顔をカカシに向ける。
「ま、確かに毒さえ喰らわなければ良いからな。容赦なくやれよ」
「了解です。先輩」
イタチも小さく頷く。
「じゃ、花奏は外にいる見張りをやってくれ。中にいる奴等はオレらがやるから」
ぽんと優しく私の肩を叩いたカカシ。
「うん、了解」
つい、胸をなでおろす声色を出してしまう。熱が上がってきている事が分かった。
呼吸が荒いし、熱が顔に集まっていく。
ビンゴブックの男と今の状態で、やり合えるはずが到底なかった。
私は背中に装着した刀を手で抜き取り、右手にチャクラが集まるように力を込める。
稲光が真っ直ぐ放つ刀身を出す。
この刀は、カカシのお父さんの形見。
オレは千鳥があるから、使って良いよ。とカカシから譲り受けたものだった。