第20章 ひとり。
翌日の朝、
私は、怪我を診てもらうため木ノ葉隠れ里の病院に来ていた。待合室で長椅子に座り、順番待ちをしている最中だ。
掛時計の針はちょうど
9時を指したところ。
手持ちの番号は12番。
30分ぐらいで、名前を呼ばれるだろう。
朝、眩しい日差しで目が覚めた。となりにいるカカシは、ぐっすり熟睡している。寝ている姿がかわいい。
カカシのまつ毛は人形さんみたいに長いのだ。薄い唇に小さなホクロ。整った顔のくせに、昔から隠すクセがあった。私といるときは、あまり顔を隠さないカカシ。少しそれが嬉しい。
「カカシ、ねぇ……」
ぽんぽんと肩を揺らすと、「ん……」と口を動かしたカカシ。身体が動いた。
「あ、起きた?あのね、病院に行ってくるね。カカシは今日は休みなの?」
「忘れた……」
「え?もう、知ってるでしょう?」
「んーー……」
カカシは目をこすって、私の体を掴んだ。
「ちょっ、」
胸に顔を埋めて背中に手を回した。カカシが、ぎゅっと隙間なく私を抱きしめる。
「あーー気持ちいい……………」
「……あ、あの」
ちょっと焦っている。心臓がうるさい。
「……………カカシ?」
待てど暮らせど返事が返らない。私は耳を傾けた。小さな寝息が聞こえる。
気持ち良さげに
私の胸のなかで眠るカカシ。
やっぱり、体力もチャクラもなかったのかな。任務明けだし、激しいことしちゃったし……。
「…………」
自分の顔が知らぬ間に
熱くなっていた。
私はそぉっと、カカシを身体からゆっくり離して、彼を起こさないよう、ベッドから抜け出した。タンスから任服に着替えて、足音を立てないよう家を出た。
……前回、勝手に出て行ったら怒られたのだ。私は教訓を生かしてメモを残すことにした。
"病院に行ってきます"
家を出ようとしたけど、菓子パンがあった。お腹が空いたから食べてから家を出た。たぶん、小さな私のために用意した物だろう。
私が食べたパンは、カカシが絶対買うはずのない、キャラクターモノだから。