第18章 うちは一族として
「父さん、母さん!!」
サスケが階段を駆け下りてきたとき、イタチは両親のトドメを刺したとき。
ふすまを開けたサスケは、驚愕に顔を歪ませる。男が立つ。長髪で一つ括りの兄。数時間前まで笑顔で「おやすみ」と言った男が、血のついた長刀を持ち、立ったまま動かない。
黒い塊を見た。薄暗い部屋の中央に横たわる人影を。それは自分の両親だった。息をしない父親と母親が目の前にある。
「母さん!!父さん!!」
客室に響き渡る悲痛にゆがむ弟の声。
イタチは、涙を拭いた。
"自分の正しいと思う道を行きなさい"
父上の言葉が耳に残る。
イタチは万華鏡写輪眼を開眼させて、サスケをまっすぐに見つめた。
「に、兄さん!か、母さんが!父さんが!!」
涙をポロポロと溢し続けるサスケは
パニックに近い。
「なんで??だれが?」
「サスケ」
生きろよ。
「愚かなる弟よ」
生きろよ、サスケ。
オレよりも長生きしてくれ。
イタチは万華鏡写輪眼で、サスケに殺した同志や両親を見せた。
ギャァァアぁぁ!!!!
この世の地獄のような映像にサスケは泣き叫ぶ。床についえたサスケはまだ意識がある。
「どうして…?兄さんが?」
どうしてだろうな……。
「己の器を量る為だ」
生きろ。
ぜったいに負けるな。
だれにも負けるな。
「それだけのために、みんなを殺したのか?」
……お前を助けたかったんだ。
生きろ。サスケ。
お前を愛している。
なによりも。
「それが一番重要なのだ」
サスケ、生きろよ。
頑張れよ。
負けるなよ。
「ふざけんなァアア!!」
殴る前に滑ったサスケは、恐怖が襲う。走って裸足のまま逃げた。裸足でパジャマのままで。真冬だ。冷たい風が吹く。
イタチは鬼になると決めていた。目の秘密のこと。いちばん親しい友を殺すことを伝えて、サスケをまっすぐに見つめた。
「愚かなる弟よ」
サスケ、生きろよ。
「貴様など殺す価値もない」
サスケ、すまない。
もっと遊んだり修業を見てやればよかったな。
「このオレを殺したいなら、憎め」
生きろ。生きろ。生きろ。
頑張れ。負けるな。頑張れよ。
「逃げて逃げて、生にしがみつけばいい」
がむしゃらに生きろ。
オレの分まで…
幸せを感じて欲しい。