第16章 小さな手
「イタチ、ありがとうな、本当に助かったよ。また、頼むね」
イタチに礼を言い、カカシは赤子をしっかりと抱いた。走るために。
「テンゾウ、帰ろ。長居は無用だ」
目で合図を受けたテンゾウも踵を返し、大きな荷物を肩にかけた。
「待てカカシ、話は済んでないぞ!!」
うちは警務部隊の制止を無視して、
一瞬でうちは街を離れた。
「おい、追いかけ……あぁ? なんだイタチ、邪魔をするな」
イタチは警務部隊の前に立つ。写輪眼を紅く光らせる男たちに、鋭い視線を送った。
「無関係な赤子にまで、殺気を放つ理由は何だ?」
イタチは下唇を噛んだ。醜態。まさにうちはの一族の醜態をさらけ出した。情けない奴らだと心で吐き捨てた。
「おい、朝っぱらから何をやっている……?」
フガクが不穏な空気を察知したらしく、飛んできた。フガクが絡むと煩わしい。警務部隊は早々と立ち去った。
「イタチ、トラブルか?」
……。
「いや、なにも……ない」
任務がある。今は従順な姿を見せなければ……。イタチは悪態を見せたうちは警務部隊を、冷めた目で見送った。
「では、……行ってきます」
父に一礼し、その場を離れた。
任務に向かうイタチは、うちは一族を嘆き、哀しげな表情であった。