第16章 小さな手
「花奏……」
しゃがんで花奏の後頭部を腕に乗せて抱くカカシは、呆然として表情は強張る。
「解」と言えるわけがない。
一同は凍りついた。
そんな中、パックンがソファに飛び移った。口でトートバッグを咥え、再びカカシの元に戻ってくる。
「カカシ、持ってきたぞ」
パックンは、バックを取りやすいように、顔を上げる。
「そのまま、持ち上げててくれ」
カカシは、花奏を落とさないよう、大事に抱えたまま、反対側の手で、ブラと下着を器用に外した。そのままトートバッグの中へ素早く下着を隠した。
「……花奏……、嘘だろ?」
状況を受け入れられないカカシ。返事はなく、泣き声だけ。
「あー、よしよし……」
首がグラグラで、落としそうで恐い。いや、絶対に落としてはいけない。赤子を抱いた経験のないカカシは、妙に触れる場所に力みが入った。
「……花奏、立つな?」
驚かさないように、ゆっくり膝を起こし、上体を起こして、花奏を抱えたまま立ち上がった。
首は完全にすわっていない。首を支えて横抱きをするカカシ。
「ふ、にゃあ、……」顔をかいて、手足を動かす花奏。小さな仕草1つ1つが可愛い。だが緊張する。
抱っこしたまま立ち上がったとき、小さくなった花奏と目が合った。あくびをしている。
体調に問題は無さそうだ。ホッと息を吐いた。
花奏の目は、ぱっちりと大きく、二重のラインが綺麗だ。まつ毛も長い。まつ毛に何か乗りそうである。
髪の毛も多い。茶色の髪が、くるくるとうねる。真っ直ぐな髪は前髪だけ。あとはぐるぐる天然パーマみたいだ。
花奏の面影が残った愛らしい姿に、カカシは優しい表情を向けて見惚れていた。