第13章 その後
「カカシ? なにしてるの?」
「んー、甘えてるの」
情事を終えたあと、
カカシが私の胸に頬を当てて、背中に手を回してる。ぎゅっと隙間なく密着させた。
「花奏の身体、柔らかいね。気持ちいい。ねー、これからはこうやって寝ない?」
私はクスクス笑って、カカシの頭を優しく撫でた。なんだか、カカシがかわいい。
「甘えん坊さんだね、カカシって」
「ダメ?」
「ううん、いいよ、いっぱいしていいよ」
私の頬に柔らかな銀髪が触れる。不思議。ずっとこうしていたい。カカシに触れていると、愛しい気持ちが溢れてくる。心が穏やかで安心していた。
「オレね、父さんの前でも甘えてたんだよね。 病気になってから、オレがしっかりしなきゃって思って頑張ってたけど、それまではもう、べったりだったのよ」
カカシの背中に手を回す力が少し強まる。カカシに言われて私は思い出していた。
カカシの家へ、小さな頃遊びに行ったとき、縁側で日向ぼっこしていたサクモさん。サクモさんの膝にごろんと横になって昼寝してるカカシ。安心しきった顔だった。
「カカシは、サクモさん大好きだったもんね。サクモさんの前だとニコニコ笑ってたよね……」
銀髪を優しく撫でている。小さな子どもに頭を撫でるように。
ふ、と息を吐いた音が聞こえた。
小さく笑ってるみたいだ。
「もう、花奏だけかもな、オレが本当に甘えれる人って……。触れたくなるんだよね、お前といると……」
そう言われて私も優しい気持ちになっていた。たぶん私も安心して身を任せれる人はカカシだけだと思う。
「うん……私も落ち着く」
ふわふわした気持ちに変わる。目がうつろで、視界が狭くなってゆく。
意識が遠のいて目を閉じていた。
「眠いね……寝ていい?」
少し間を空いたあと聞いてみた。
反応がない。寝息が聞こえる。カカシはもう夢の中みたいだ。私は口もとを緩めて目をつむった。
いつも暗部のお仕事で無理をし過ぎているカカシ。たまにはゆっくりした休日を過ごして欲しい。
私は笑みを浮かべて
もう一度、眠りについていた。