第2章 アパート。
「花奏、入らないのか?」
花奏の買い物を終えて、オレのアパートの前まで来て、何故か急に足を動かさず玄関で固まった。
顔を下に向けて黙ったままだが、漸く意識し始めたらしい。事の重大さを理解したようだ。だから勝手に決められて良いのか?と言ったんだ。
「……ダメだよね、私やっぱり三代目に言ってくるよ、悪いし、嫌だよね?」
「オレは嫌とは思ってないけど、お前が嫌なんじゃ無いの?」
「ーーーえ、そんなことは無いよ。嫌なんじゃ無いよ」
「だったら、そんなトコに突っ立ってないで、入ってくれない?ずっと待ってんだから、ドアを開けて」
そ、そうだね……、って言って玄関の中に入って靴を脱ぐ花奏。
そわそわ落ち着かないみたいだな。急に無口になって顔がちょっと赤いし。そりゃ普通そんな反応になるよな。いきなり男と一緒に住むんだから。
「花奏、疲れてるだろ?徹夜なんだからシャワー浴びて服着替えて来いよ」
「そうだね、うん。お借りしようかな……ありがとう」
バスタオルを渡して花奏を見た。真っ赤……。え?そんなに意識する?何か恥ずかしい事、オレ今言った?
こんなに林檎みたいに頬を染めた花奏は見た事ないかも。いや、初めてかもな。
「……あ、花奏、オレも後から入るから」
「ええっ⁈」さらに焦って顔全体が赤くなる花奏。
何を考えてるの?意味が分からないな。
「昨日、オレも完徹でさ、眠いよな」
「あ、そう……言う事か。あはは。じゃあ、うん、お借りします」と、足早に浴室に向かう兎面を頭につけた幼馴染。
え?何?そういう事?何?何?
いったいぜんたい、今どう言う事を考えていたんだ?よく分からない。
相変わらず変な事ばっかり言うな。
そこが面白い所でもあるけれどな。