第8章 時々おかしい刀剣男士(薬研)
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ようやく大将の寝息が聞こえてきた。
そっと顔を上げれば、無防備に口元を少し開けて寝ている。
それと同時にふわりと香る大将の匂いに、思わず息を零す。
頭が、ぼおっとしてくる。
その香りも、表情も、何もかもが俺を惑わせるんだ。
大将、あんたは気付いていないかもしれないが、この状態になるまでどれほど苦労したと思う?
危険になった仲間を何回も庇い続けていれば、あんたが心配すると思ってたんだ。そうして、側に置いてくれれば後はもう流れのままにいけばいい。
少し時間はかかったが、あんたは側に置いてくれた。
そうして不安げな顔を浮かべてやれば、優しい大将の事だから心配してくれると思ったさ。
...まぁ、一緒に寝れたのは嬉しい誤算だが。
なんにせよ、遅い効き目の睡眠薬を盛っておいて正解だった。
ちょっとやそっとのことじゃあ、起きないだろう。
「ごめんな大将。許してくれ。」
ゆっくりと起き上がり、彼女の頰を撫でる。
嗚呼、柔らかくて、噛み付きたくなる。
いそいそと布団の中に潜り込み、寝間着の隙間から手を入れ込む。
女性特有の感触に、堪らず唾液を飲み込んだ。
鼓動が早まっているのがわかる。そのくらい、自分は興奮しているのだろう。
いけないことだと知ってはいるものの、どうにも抑えきれない。
ゆっくりと寝間着をはだけさせれば、太ももが晒される。
くらっときそうになるのをなんとか耐えつつ、感触を楽しむ。
噛みたい、歯型が一生残るほどに、強く。
でも、大将が痛がる姿は見たくなはないし、この綺麗な身体に跡を残したくもない。
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