第6章 戦争
待っていろと言われた私は、大人しく待っていた。
1時間
2時間
3時間
4時間
5時間目でようやく、ヤーシュ様は部屋に帰ってきた。
「あ…お、お疲れ様です」
「ああ」
相変わらずしかめっ面のままだ。
「あの…ヤーシュ様、入浴をされてはいかがでしょう」
「うん?」
「お疲れのようですし、あのう、髪もよごれていらっしゃいます」
「そうか…そうだな。準備を」
「してあります!」
「そうか」
私はヤーシュ様とともに浴場へと向かった。
お風呂に入ってリフレッシュして頂こう、そうすれば気持ちも落ち着くかもしれない。
館の浴場はそれほど広くはないけれど、豪華な彫刻が置いてあるし、浴槽も金の縁取りで飾られて、見ているだけでいい気分になる。
ヤーシュ様はザブンとお湯に浸かると、ふうと息をついた。
私はワンピース型の簡素な湯浴み着をまとって、浴槽の脇から、ヤーシュ様の手や肩をマッサージした。
「だいぶお疲れのようですね」
「ああ…」
「私は戦場というのは見たことがないんですが、大変なんでしょうね」
ヤーシュ様はそれには答えなかった。
あまり話しかけない方がいいのかな?と思っていたら、不意に腕を引かれた。