第6章 戦争
ヤーシュ様の、獲物を狙う猛禽を思わせる双眸は、私をまっすぐに見ている。見てはいるけれど、何を考えているのか、何を捉えているのかわからない、そんな目だった。
私は背筋がゾクリとするのを覚えた。
「ヤーシュ様、あの、あ…むぐ」
何を言う暇もなく、頭を鷲掴みにされ、そのまま口付けられた。
「ん…んん、ふ…」
ハアハアと、ヤーシュ様の荒い息が耳を満たす。そして私の唇に、噛み付くように歯を立てた。
「いっ…!」
反射的に離れようとすると、私の頭を握る手にグッと力がこもった。
痛い。
「いっ…んむ」
ヤーシュ様は私の唇をこれでもかと貪り、離してくれない。
息もままならない。やだ、苦しい、痛い、離して…!
と思っていたら、本当に離れた。
助かった。
「ッハア…ハァ、ぅえ゛、ハァ…」
必死で酸素を取り込む私に、ヤーシュ様は
「まだ会議がある。終わるまでここで待っていろ。絶対に動くな」
と言い放ち、部屋を出ていった。