モデルのボーダー隊員(前のストーリーとは少々異なります)
第10章 可愛い後輩と秘密
今日はもう遅いため、明日、千佳ちゃんのポジション決めとポジションの説明をすることになった。
「じゃあみんな、お休み。明日から頑張ってね!」
『はい。お休みなさい』
「お休み~!」
修君達と廊下の途中で分かれ、自室へ戻る。部屋の前には、何故か悠一がいた。
「悠一?どうしたの?」
「ちょっと話があって明希を待ってた」
「大事な話みたいだね。寒いだろうし部屋に入って?」
「ありがとう」
部屋に入り、中央のテーブルに向かい合って座る。
「話って何?」
「実は、近い内に今回の遠征部隊と三輪隊が、合同で遊真の黒トリガーを奪いに来る。明希にはその手助けをしてほしい」
遊真君の黒トリガーを奪いに来る?城戸さんは何を考えてるの?
「具体的には?」
「太刀川隊2人、冬島隊1人、風間隊3人、三輪隊4人の計10人が攻めてくる。その内の三輪と米屋と、太刀川隊の出水と冬島隊の当真の相手をしてほしい」
となると、悠一はそれ以外ね。人数の偏りが少し気になるけど、まあいいか。
「具体的なプランは?」
「2つある。プランAはバラけず固まって動いて、相手のトリオンを削る。削るだけで、相手を即緊急脱出させないようにしてくれ」
本部との摩擦を減らすのが目的か。バレたら相手の怒りを買いそうだなぁ。
「じゃあプランBは?」
「プランAがバレた場合、風刃を起動させて普通にやり合う。緊急脱出させてよし」
「...目的が見えないんだけど、説明してくれる?」
「本部の精鋭達を風刃で緊急脱出させることで、風刃に箔をつける。そのあと、本部との交渉条件として風刃を差し出す」
なるほど。相手に有利すぎる取引は未来視でカバーしてるわけね。でも、僕はあまり賛成できない。
「悠一、その風刃は最上さんなんでしょ?手放していいの?」
「大丈夫。それでボーダー同士のケンカが収まるなら最上さんも喜ぶと思うよ」
「本気で言ってる?僕には、悠一の心が淋しがってるように見えるんだけど?」
悠一の顔が少し陰る。
SEで途中からずっと読んでいた。本当は手放したくないのがちゃんと伝わって来ている。
「ねぇ、悠一。今から僕の秘密を少しだけ話してもいい?」
「明希の秘密?」
「うん。ちょっと待ってね」
机の横にある鞄から、悠一の風刃に似たものを取り出す。
「それって...」
「うん。これは黒トリガー。元は風間進さんだよ」