モデルのボーダー隊員(前のストーリーとは少々異なります)
第2章 仕事
三門市某所ー
人通りの多い通りに面したカフェの一角に、黒髪を緩く纏めた女がゆったりとしたひとときを過ごしていた。
久し振りに戻ってきた三門市。
幼い記憶の中の三門市とは随分変わっており、知らない町に来たような感じがする。心なしか少し寂しくも感じる。
カフェの一角で冷たい抹茶オレを堪能しながら、これからの事を考える。
僕はここに戻って来てどうする気だったんだろう?
もう一度ボーダーに入る?
ーそれなら今の仕事を辞めなくてはならない。
入らずに、安否だけでも確認する?
ー居なかったらどうする気だ。ショックで立ち直れなくなるのが目に見えている。
1人で悶々と考えていると、カランと店のベルが鳴った。顔を上げて入り口を見ると、僕が待っていた人物が来た。
「瑠衣!こっちこっち!」
「お、どもども。おひさだね~明希」
向かいの席に座った彼女の名は小佐野瑠衣。現ボーダーの諏訪隊に所属しており、オペレーターをしているんだとか。
今日こうして会っているのは、僕が三門市に引っ越して来た事を話した際に、「明希の家行きたーい」と言われたからだ。
早速会計を済ませて店を後にする。
秋が終わり、雪の降る日が増えた今日この頃。今日も凍てつくような風が僕たちの頬を刺激する。
「うう~寒い...」
「だねぇ。もうすぐクリスマスだし仕方ないよ~」
クリスマスかぁ。去年は仕事でクリスマスイルミネーション見に行ったな。とふと思い出す。
「そう言えば、明希は学校どうするん?」
「学校?三門第一に転校する予定だよ?」
「そっか~!じゃああたしと同じ学校だねぃ」
「瑠衣も三門第一なんだ!同じクラスになれると良いね!」
家までの道を歩きながら、のんびりと最近の出来事を話す。任務中の隊員の面白い話や最近の芸能事情など、瑠衣の話は聞いていていつも楽しい。僕もそれなりに詳しい方だが、瑠衣は僕が知らないことをいっぱい教えてくれる。
楽しい時間はあっという間だった。もうすぐで家に着く。その時、僕らの目の前でゲートが開いた。
中から出て来たのは戦闘用トリオン兵[モールモッド]が3体だった。