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モデルのボーダー隊員(前のストーリーとは少々異なります)

第4章 嫌な思い出とSE


桐絵を背負いながら訓練室を出ると、悠一がお疲れ~と声を掛けてくれた。

「ありがと」
「うぅー負けたぁー」

桐絵が悔しそうな声を出す。桐絵をソファに座らせて僕も隣に座る。

「確かに結果は負けだったけど、始めた時よりも最後の方が動きが良くなってたよ。それに、昔の桐絵よりも動きにキレと自由さが増してた。強くなったね、桐絵」

優しく頭を撫でてやると少し照れながら「ありがと」と言った。癒された。

「あの、明希先輩。ちょっといいっすか?」
「どうしたの?京介」

京介が何か聞きたげに声を掛けてくる。
なんだろう?

「先輩ってモデルやってます?」
「あー...うん。やってる。さっきのトリオン体と、《シュウ》って名前で気づいたんでしょ?言うの遅れちゃってごめんね」
「いや、全然いいっすよ。寧ろ謎の多い《シュウ》の事知れてうれしいです」
「お?もしかしてとりまる君、《シュウ》のファン?」
「はい。だって、めちゃくちゃ格好いいじゃないですか。この前の最新刊あるんで、後で全員で見ましょう」
「ぼ、僕は遠慮しとくよ。そろそろ眠いし、桐絵も寝ないとダメだよ?」

時計を見れば0時を過ぎていた。もう夜も遅いため、雑誌を見るのは明日になった。

桐絵を部屋に連れてい行き、僕も自分の部屋に戻る。今日は濃い1日だったなと思い返す。
朝みんなと再会して、悠一ともやっと会えて、玉狛に入隊して、みんなで歓迎会やって、桐絵と模擬戦して...。
こんなに楽しんだのは久しぶりだった。明日は京介が雑誌見せるって言ってたのがアレだけど...。最初は断ったけど、写り具合のチェックも兼ねて見ようかな。
明日の事を考えながら部屋の前まで来ると、悠一から電話が入った。少しだけ屋上に来てほしいらしい。何かあったんだろうか?

屋上に出ると少し強い風が吹き、雪が降りそうな匂いがする。

「明希」

前方から悠一の声が聞こえる。歩いて悠一の隣に立つと、ココアの入ったマグカップを渡された。

「明希の分」
「ありがとう...どうしたの?」

悠一は黙って空を見上げる。僕も連られて見上げると、そこには綺麗な星空があった。

「星が綺麗だから一緒に見たいなって」
「凄く綺麗...。呼んでくれてありがとう」
「どういたしまして」

それから30分程の間、2人で星空を眺めた。
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