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モデルのボーダー隊員(前のストーリーとは少々異なります)

第3章 勧誘


部屋の右奥の机の前に立つ。そこには伏せられた写真立てがあった。それを起こすことなくそっと指先で撫でる。

「明希?どうしたんだ?」
「...何でもない。悠一!この部屋掃除されてるみたいだけど、また埃が溜まってきてるから手伝って?」

何でもない風を装ったけど、悠一は写真立ての事を察しいているだろう。今はまだ話したくないから、聞かないで。

「わかった。じゃあ道具取りに行こう!場所はわかるか?」
「場所が変わってなかったらわかるよ。取り敢えず掃除機と雑巾2枚だね」

掃除道具を持ってきて掃除を始める。掃除機で埃を吸って、窓や机などをキレイにする。さっきの写真立てや布団の引かれていないベッドもキレイにする。
部屋が粗方キレイになったところで一度休憩する。

「お疲れ様、悠一」
「ありがとう。明希もお疲れさん。何か飲みに行く?」
「うん。お茶ってあるかな~?」
「あるある。お子さまがいるからジュースもある」
「じゃあ、少しだけジュース貰おうかな」

キッチンではレイジさんが晩御飯の用意をしていた。手元を見ると、料理上手な近所のおばさんよりも細やかで、鮮やかで、速かった。

「レイジさん凄いですね。物凄く綺麗なのに速くて、丁寧で...」
「慣れればお前でも出来るようになるさ。興味があれば今度教えてやる」
「本当ですか?ありがとうございます!」
「あぁ。作りたいものが決まったら言いに来い」
「はい!」

レイジさんは何でもできて凄いなぁ。レイジさんが僕のためにご飯作ってくれてるんだし、さっさと部屋の片付け終わらせて、何か手伝おう!
悠一が淹れてくれたジュースを飲んで、部屋の片付けを再開する。

ベッドにマットレスや布団を置いていつでも寝られるようにし、机の上の電気スタンドに電球を取り付ける。他は昔の僕が使っていたままにした。その方が落ち着く。
これで掃除と片付けは終わった。初めよりもだいぶキレイになった。

「悠一、手伝ってくれてありがとう。お陰でだいぶ早く終わったよ!」
「どういたしまして。また何かあったら言って。手伝うからさ」
「うん!悠一も何かあったら僕に言ってね?手伝うよ!」
「あぁ、そうさせてもらう」

そう言った悠一の笑顔はとても優しく見えたのに、少しだけ陰りのようなものが見えた気がした。
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