第7章 6day
「そうか。」
なんとなく、トラファルガーの頭に妹の姿が浮かんだ。妹を溺愛する姿がなんとなく自分に重なったらしい。苦々しくも幸せな記憶に表情を曇らせ彼は帽子を深く被り直す。はそんなトラファルガーに気付き見下ろした。
「どうしたんですか?」
「…いや、昔の事を思い出しただけだ。」
「家族の事…?」
「まぁな。」
そう静かに答えたトラファルガーには深く聞くことはしなかった。表情は見えない。だが上から見える彼の姿が、とても寂しそうに見えたから。
「…ローには私がついてますよ!それに仲間も居ます!そんな寂しそうな顔しないで下さい。」
「見えてねェだろうが。寂しいなんざ思っちゃいねぇよ。」
「見えなくても分かります。1週間位、ずっと貴方の傍に居たんですよ。」
「1週間そこらで悟られてたまるか。」
「むう…!」
頬を膨らませるにトラファルガーは喉を鳴らし静かに笑う。普段通りの笑みにも安心するように頬を緩めた。
それから直ぐに、自分達の船が見えてくる。は翼を羽ばたかせゆっくりと、彼の身体を降ろし自分もその隣へ降り立つ。
クルー達はどうやら甲板で自分達の戻りを待っていてくれたらしい。随分賑やかな迎えだ。
「おかえりキャプテン、!」
「ただいまベポ!」
「おかえりなさいキャプテン!!天界?はどうでしたか?」
「あぁ、金目のものは何も無かった。」
「アンタ略奪のつもりでの故郷に行ったんですか…。」
「酷い、ロー!」
「冗談だ。お前ら何をしている、さっさと出航するぞ。船を沈めろ。」
「「「アイアイキャプテン!」」」
掛け声と共にクルー達は慌ただしく出航の準備を急いだ。その中で何か手伝おうと彼らの輪へ加わろうとするの手首をトラファルガーが掴む。
「ロー?」
「お前はいい。おれの部屋に来い。話がある。」
「は…はい。」
今まで何度か訪れた彼の部屋。けれど、恋人同士になってから初めて向かう事には少なからず緊張した。しかしトラファルガーは相変わらず涼し気な顔で部屋へと向かう。
目的の場所へ着き、中へ入って扉を閉める。ようやくと向き合うと、普段白い頬を赤く染める姿にトラファルガーはニヒルに笑う。