第7章 6day
いく重にも重なる雲を突き抜けどんどん斜め上へ上へと向かって行く。その早さも驚くが、酸素の薄さにも驚いた。確かに、呼吸が徐々に苦しくなっていく。それでも速度が変わらず一定の早さで昇っていくは呼吸が全く乱れてはいない。確かに、体力は充分に有るのだろうと思った。
「着いた…!」
ぽふっ、と厚い雲に差し掛かったかと思うと暫くしてそれも抜けた。綿あめのようなふわふわな雲の表面へゆっくりと降ろされる。渡された羽根の効果が有ってか足は着くようだ。も直ぐ横へと降り立つ。
「苦しくないですか…?」
「多少はな…。」
「きっとすぐ、慣れますから。」
そう言われトラファルガーは辺りをキョロキョロと見渡した。周りには誰も居ない。人の気配も無い。本当に住人が居るのか不安になる程だ。
しかしそんな殺風景も気に止めずは歩き始めた。トラファルガーもそれに続く。
「この先に皆の家が有るんです。全部雲で出来てるんですよ。」
「そりゃこんな所でそれ以外の材料は使えないだろな…。」
木材の1本2本では家など到底作れないし、地上に何度も降りる必要がある。そこまでする必要性は感じない。興味深く辺りを見つつについて行きかなりの時間が経った。やがて建物らしきものが見えて来た。雲が一軒家のような形を模している。初めて見る奇妙なそれに感心していたその時だった。
「ー!!!」
「え?……っわあ!!」
突然前方から駆け寄ってきた何かがの身体を押し倒す勢いで飛び付いて来る。トラファルガーは警戒し刀を抜くが、飛び付いたそれは直ぐに顔を上げ彼をキツく睨む。
「何故ここに人間が居るんだ!?、この男に脅されているのか!?そもそも一年近くどこに行ってたんだ!!」
矢継ぎ早に繰り返される質問には思わず顔を顰めた。そして自分の上に飛び乗る人物の胸元を思いっ切り押し返す。
「もう!暑苦しいから離れてよお兄ちゃん!!」
「……お兄ちゃん?」
普段あまり表情の変わらないトラファルガーの眉がピクリと揺れた。確かに、琥珀色の髪、瞳の色、整った顔立ち…似ている気がしなくも無い。
「お兄ちゃんの質問に答えなさい!」
「分かったから!」