第5章 イライラ
私の視界には彼の靴とおろされたズボンが見えていたが、程なくしてズボンが直された。
そして、彼は膝をつき、私に手を伸ばす。
「悠子…ごめん…」
彼の手が私の肩に触れた。
「触らないで!!!」
私は反射的にその手を振り払い、その勢いのままその場を離れた。
「待って!」
後ろから聞こえる声も無視し、私は自分の部屋へと戻り、すぐシャワーを浴びた。
口も顔も洗い、股も洗う。
洗い終わった私は浴室の床にへたりこんだ。頭に暖かなシャワーがかかり、私の涙とともに排水溝に流れていく。
きれいになった唇をなぞりながら、先程のことを思い返す。あんなに手酷く抱かれたのは初めてだった。
今までもそれは無理やりではあったが、優しさがどこかにあったように感じていた。
なぜ今日に限ってこんな…、最後に謝っていたのももう何故なのかわからず、私の頭はパンクしそうだった。
いくら考えてもわからない…。ひとしきり泣いた私はシャワーを終え、床についた。