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魔界の夜

第5章 イライラ


「何してんのかな?悠子ちゃん。」

急に頭の上から降ってきた声にビクリと身体を震わせる。
おそるおそる顔をあげると、そこには今夜最も会いたくない奴がいた。しかも明らかに怒っている笑顔だ。

「……あれ~。こんな所でどうしたんですか?」

とぼけてみた。

「ロウソク。火ついてたでしょ?俺待ってたんだけど?」
「あれれ~。そうでしたっけ~?」

2人とも心無い笑顔を顔に貼り付けていたが、急に奴の顔がフッと悟ったような顔になる。
おもむろに奴は私が座っている椅子を引く。机と少し距離ができる。そして私の正面の机に腰掛けた。

お互い沈黙が続く。こらえきれなくなったのは私だった。

「……私、部屋に帰る。」

奴の顔を見ない様に立ち上がろうとした時だった。
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