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魔界の夜

第1章 旅立ち


よく晴れた金曜日。
青空と白い雲の下には住宅街が広がっている。大きなマンションも見えるその景色に埋もれるように小さなアパートが建っていた。
その中の一部屋に風鈴が飾られた窓が見える。

部屋の主である女は、パソコンのキーボードをカタカタ、マウスをカチカチいわせた後、おおきく伸びた。

「は〜〜〜おわった〜〜〜」

画面にはメール画面が出ており、納品のチェックができたことやお礼の言葉が表示されていた。

彼女は台所へと向かい、コップに勢いよく氷を入れて、茶を飲んだ。

リビングに掛けられたカレンダーには明日の日付のところから一週間ほどの間に赤い線が引かれている。コップを持ったまま、彼女はカレンダーの前に仁王立ちし、その赤い線を凝視した。
溶けた氷がカランと音を立てる。

「………よし!」

彼女は力強くそう呟くと手早くコップを片付け、寝室へと向かった。その足取りはどことなく軽く、表情もほころんでいる。
寝室の中央には、旅行用のトランクが口を開けていた。そこには服やポシェットなどが並べられている。
彼女はその中の小さめのバッグを手に取り、トランクを閉め、バッグを肩にかけた。

そして、彼女は家を出た。
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