第10章 終幕
唇が離れ、自然と私は彼を見上げるように見つめ合う。
そしてまた唇が重なり、今度は彼が舌を絡めてくる。
「んっ…」
いつもなら逃げようとする唇が今は彼に応えるように動く。
「あの子にキスされた…?」
不意に唇が離れ、そんなことを尋ねられた。
私は思わず顔を赤らめる。
「…う、うん……」
俯きながら答える。
「他には?どこ触られた?」
「は、恥ずかしくて言えない…」
「…気持ちよかったの?」
「気持ちよくなんてなかったわよ!」
「じゃぁイってない?」
「うっ…」
心外な質問に思わず声を荒らげてしまうが、その勢いは風船を割った時のようにしぼんでいく。
「君の可愛いところだけど、困ったな。どうしたら君を取り返せるかな。」
不意に彼の手が私の腰を撫でる。
思わずビクリと身体が震えた。
「で、でも、ほんとに嫌だったの、私…」
「そこがいいんだよね。」
「え?…きゃっ」
突然身体がふわりと抱き上げられる。