第9章 恋心
「なら…?」
そんな私に彼は優しく手を伸ばす。
でも私は何も言わない。
そのうち彼の腕がまた私を抱きしめた。
彼の胸に顔を埋めると涙が溢れてきた。
彼のにおいでいっぱいになったから。
「言って。悠子。」
優しい声が降ってくる。
「私以外とあんなことしないで…。」
声は震えてて、上手く言えたかは分からなかったけど、彼は優しく私の髪を撫でてくれた。
そして涙でくしゃくしゃになってるだろう私の顔を自分の方に向けさせる。
「約束するよ。君だけだ。」
彼はまっすぐ私を見つめてくれた。
そしてそのまま唇が静かに重なった…。