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エラリーの彼女【名探偵コナン】

第17章 いつもの刺激的な日常


「言う必要が無いと思ったから・・・というか、言ったら零が不機嫌になるから?」

「たしかに、気分は良くない」

「あ、ごめ・・・」

「別に謝らなくていい。でも僕のことも忘れるなよ」

「忘れてないよ・・・」

「また二人で出掛けたい」

「いやでも・・・」

「また遠出の依頼が入ったことにすればいいだろ?」

「・・・え」

「行き先はどこにしようか。いつにする?」


話が強引に進んでいく・・・
いつも流されるままホイホイと話を決められてしまう。
これはまずい流れだ。

なんとか流されないように試みる。


「零って忙しいんじゃないの?」

「かおりさんの為なら時間は作る」

「そんな時間あるんなら零にはゆっくり休んでほしいよ・・・」

「僕はかおりさんと過ごせれば十分休んだ気になるよ」

「そうですか・・・」

「・・・そんな嫌そうな顔しないで。困らせたい訳じゃないんだ・・・ごめん」


逆に困ったような顔をした零が、急に距離を詰めてきて、肩を抱かれ髪を撫でられたかと思ったら唇を重ねられた。

ほんとに・・・これは反則だ。

優しく頬に触れてくる手も、重なった唇も、すごく心地良くて。
無意識のうちに強ばっていた顔も身体もほぐれていく。

唇が離れる頃には、“やっぱりどっか行こうか”と頭の中でセリフが出来上がってしまっていた。


「うん・・・そのうち、行こうね」

「楽しみにしてる。明日は事務所にいるのか?」

「いるよ?」

「じゃあ昼すぎにまた何か作って持ってくるから。明日は一緒に食べてくれる?」

「うん」

「昨日も会えると思ってたのに、かおりさんいないんだもんなー・・・結構ヘコんだ」

「零・・・」


シュンとしている零が可愛すぎて思わず手が伸び。
自分より高い所にある彼の頭を撫でる。

照れたように笑う様子もまた可愛い。

やっぱり零には適わないのだと痛感する。


「今度から事務所休むときは連絡入れてよ」

「わかった」


またたっぷりと唇を重ねてから、事務所を出て、家まで車で送ってもらった。


少し前までは、零と別れた直後に秀一さんと顔を合わせるのがとんでもなく気まずかった。
ところがどうだ。今日は車を降りてスタスタと玄関に足が向いて、すぐに家に入り「ただいま」と言えた。
“慣れ”とはこういうものなのか。
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