第1章 IF:【冬春】エース救済・主人公生存
そうだよ、そうだったじゃないか。私はエースを守るために海軍に入った。元帥になって、エースの生きやすい世界にしてやろう、ってそう思ってたじゃないか。
だけど、今エースが死んだらそんなの意味なくなっちゃう。全部全部、エースのためだった。私の行動原理はいつだってエース。
母さんに守れって言われてただろ。私の、唯一の肉親だろ。エースは、私の可愛い弟だろ。どれだけ嫌われたって、生きていてくれたらそれだけでいいんだろ。
何が海軍だよ、何が正義だよ。弟1人守れず、何が姉だよ。
「エース!!!」
疲労困憊だったであろうルフィは膝をついてそのまま手をついた。サカズキ大将がそれを見逃すはずがなく、ルフィへとマグマの拳を振り上げる。エースがルフィを守るようにその間に割り込んでいく。
あぁ、さっき見聞色でみた未来と同じ光景だ。でも、さっきよりゆっくりと鮮明に3人の動きが見える。間に合う、まだ間に合う。
は愛刀ふた振りで地面を抉る勢いで突風を生み出す。自身は能力者ではない。だが愛刀ふた振りは妖刀と呼ばれるものであり、また六式の嵐脚を応用させた技である。
突然の突風はエースとルフィを見事に直撃し、数十メートル吹き飛んだ2人に赤犬は目を剥く。赤犬が2人を追撃しないよう、剃で距離を縮めたはそのまま刀で赤犬の拳を受け止めた。
突然吹き飛ばされたことに驚いたルフィとエース。女海兵のファインプレーにどよめく海賊たち。同僚の突然の裏切りに動揺する海軍。
「なんの真似じゃあ…!!?」
「…見たまんまですよ、」
の乱入に勢いが弱まった赤犬に、これ幸いとは赤犬の拳を刀で弾く。とて、長時間赤犬を止めていられるとは思っていない。少しでも時間稼ぎが出来ればいい、殆ど捨て身だった。母親が命を懸けたように、もこの場で自分の命をかける腹づもりでいる。
「エース!弟も、無事かよい!」
「あ、あぁ、一体何が…」
「何かよくわからんが、青剣が割り込んできた」
「は、」
「向こうは大混乱だろうよい。今のうちに逃げるぞ」
エースは耳を疑った。誰が割り込んできた?青剣?
マルコの指す向こうへと目を向ける。赤犬のマグマの柱が少し先の方で上がる。怒号も聞こえてくる。あの中心地にあいつがいるというのか。