第1章 帰
---小学6年 冬---
『はじめまして 松岡 凛 といいます
佐野小学校から来ました
女の子みたいな名前ですが男です
よろしくお願いしまーす』
黒板にでかでかと書かれた字の前に
1人の男の子が立って挨拶をした
(この時期に転校生かー
仲良くなれるかな?)
なんて考えていて
これから
幼馴染みである七瀬遙、橘真琴と
この日転校して来た松岡凛をきっかけに
水泳を通して出会っていく人々たちと
こんなにも深く関わっていくなんて思ってもみなかった
---
『松岡 凛 といいます
佐野スイミングスクールから来ました
女の子みたいな名前ですが男です』
聞いたことのある自己紹介だと思い
声のする方に顔を向けると
同じクラスに転校してきた松岡凛がいた
『まこちゃん、ハルちゃん、あれ』
まこちゃんとハルちゃんの肩を叩き指をさすと
まこちゃんはポカンとハルちゃんはガンを飛ばしていた
『いや〜、偶然って重なるよね〜。
転校してきたらスイミングクラブまで一緒だったなんて』
クロールの練習中プールサイドで並んでいると
松岡くんが話しかけてきた
まこちゃんは『うん、びっくりしたよ』
と言って普通に喋っているが
ハルちゃんは無視してプールに飛び込んでいった
(まぁ、ハルちゃんがペラペラ喋ってるのも想像できないか)
なんて思いながら
『松岡くん!スイミングクラブでもよろしくね』と言い
ニコリと笑顔で挨拶したら『おう』
と両腕自分の頭の後ろに組み
ニっと笑ってくれた