第1章 first summer
キャーキャー
「…なんかあっちが騒がしいわね」
「この黄色い悲鳴は…悪戯仕掛け人様のおなーりーってか?」
「?」
はちょんちょん、とアリアを指の先でつついた。
「ん?」
「あ、アリア…悪戯仕掛け人って、なぁに?」
「あぁ、は転校してきたばっかだから知らないか。んー、何って言われてもねー。うーん、アイドル?」
「あいどる?」
「違うわよ。あんなのただの不良集団だわ」
が女の子たちの歓声が向けられている方向に目をやると、4人の男の子がいるようだった。
前から順番に黒・鳶色・茶色・黒。
人だかりで顔は見えないが、チラッと見えた髪色の中で一つ見覚えがあった。
「…あ、カラスのひと」
「「カラス?」」
カラスってなに?と問いかけるリリーとアリア。
「えと、て…天井落ちてきた時、一緒に落ちてきた人、あの人。一番後ろの」
「一番後ろ?あれシリウスだよ。シリウス・ブラック。ホグワーツNO.1モテ男で、王子サマ」
「え、どういうこと?シリウスがに怪我させたってこと!?もう信っじられない!!ちょっとガツンと言ってくるわ!!」
「り、リリー、おおおおおちついて…!!」
美人が怒ると怖い。つまりリリーが怒ると怖い。
いつものお姉さんな表情はどこへやら、こめかみに青筋を立てたリリーはこぶしをパキパキと鳴らした。
「まぁまぁ落ち着きなって。ほら、なんかあいつのほうからこっちきそうだよ?」
「え。」
「はぁ!?今更謝っても遅いわよ!」
ちらりと再び歓声のほうへ目を向けると、確かに黒髪が近付いていた。
表情は読めないから意図はわからないが、事実として距離は詰まってきている。
なんだか大広間の注目が集まっているのを感じ、はなんとも言えぬ圧迫感を感じた。
「(に、逃げたい…!すごく、逃げたい…!!)」
まずは現実逃避。
目を伏せて手を膝に置き、身体を固くする。
私じゃない私じゃない。
そうだよ、偶然こっちの方向に用があるだけで、私とは限らな…
「おい」
「」
私だった。
緊張のあまり声を掛けられただけでの瞳には涙が浮かんだ。