出水と太刀川さんと風間さんに挟まれる話。【ワートリ】
第7章 第7話
長い授業が終わり、日向の本日の監視も滞りなく終了した。
監視の対象は学校内だけのため本日はこれで任務自体は終了だと昨日聞いた。
本来なら一緒に帰りたいが、そうもいかないので俺は寮に着くまで日向を見知らぬ相手として見なきゃならない。
1日他人で過ごしたけどなかなか堪えた。
俺は堪えてるのに米屋はフツーに話してるのがすごい腹たったな。
俺は精一杯伸びをして日向の方を見てみると、彼女も同じように伸びをしていてこちらを見た。
目があったのが恥ずかしかったのか、日向はヘラリと苦笑い。
俺はその笑顔に耐えられず目を背けた。
…あんなん直視できるかクソ。
ため息を漏らし、席を立つと俺の後ろを槍バカがサーッと通り、日向の席に向かったのがわかった。
「なあなあ伊吹!家どっち?ボーダーの方?それとも逆?」
…その聞き方は少々誤解を招きそうなもんだが。
「えっ?…ボーダーの方ですけど…どうしてですか?」
ホラホラ訝しんでるじゃん。
「あ、そーなのか!俺もボーダーの方に寮あってさ〜、あ、ちなみに俺ボーダーなんだけどA級7位なんだぜ!すげ〜だろ〜」
「…??すごい…ですね」
話が逸れてるぞ槍バカ。
「えと、1位は確か太刀川隊…」
「!?」
「お、よく知ってんね。あいつがその太刀川隊のシューターの出水だよ」
そう言って槍バカは俺を指差した。
…日向もなんで余計なこと言うんだよ…!
これ俺も話に巻き込まれるパターンだろ!
「あーえと…太刀川隊の出水です…」
ハハ…と引きつっているであろう顔で言っておいた。
こういう、お互いが演技だとわかった上で話すはの苦手だ。
「いっ、伊吹です…どうぞよろしく…」
ヘラヘラとバツの悪そうな顔をして日向は偽名を名乗った。
クソ、やりずれぇ…
「おい陽介遅いぞ」
聞きなれた声のする方を向くと、教室の入り口から三輪が相変わらず不機嫌な面を下げていた。
ナイスタイミング。
「あ、わりわり。つい」
槍バカは日向から離れ自分の身支度を始めた。
「…今日もミーティングか?」
「そ。秀次の表情筋をいかにして鍛えるかの話し合い」
「お前の遅刻をいかにして減らすかのミーティングに変えてやろうか?」
「遠慮します」
三輪の怒気はすごい。