出水と太刀川さんと風間さんに挟まれる話。【ワートリ】
第2章 第2話
スマホのアラームで目が覚めた。
どうやら朝の9時らしい。
「くあぁ…」
大きなあくびをしながら伸びをし、またベッドに倒れこんだ。
「謹慎だから学校に行きたくてもいけねーんだもんな」
謹慎と聞いて初めは最悪だと思っていたが案外便利かもしれない。
だが学校に行かないとなると長時間の空きができた。
ここでできることなんてテレビを見るかゲームをするかスマホをいじるかトレーニングくらいしかすることはなかった。
「………」
俺は頭をかきながら部屋を出、リビングへと向かった。
ダイニングテーブルにはメモ書きが残されていた。
「この字は…」
『よう謹慎ボウズ。朝飯はいつも通り適当に済ませろよ。みんな寮開けちまうから留守番頼んだぞ』
「…太刀川さん」
この妙にクセのある汚い字は太刀川さん以外いないだろう。
おまけに最後にへんな顔が描いてある。
自画像…?
下手すぎる。
ヒゲしか一致してない。
…それにしても…一日中家で留守番なんてできるわけがない。
ぐうぅ〜〜…とあからさまに腹が飯をよこせと騒いでいる。
とりあえず冷蔵庫を開けてみるが、食パン2枚にチーズ、ベーコンしかない。
飲み物は牛乳と水。
「相変わらずしけてんなぁ…買い物当番誰だよ…」
と当番表を見た。
「………」
冷蔵庫を静かに閉め、当番の役割を果たすために俺は支度を始めた。
「…まあ謹慎っつっても仕方ないよな。だって当番だし。食わないと死んじまうし。」