出水と太刀川さんと風間さんに挟まれる話。【ワートリ】
第2章 第2話
苦しい言い訳を自分に聞かせながら歩いて3分のコンビニにたどり着いた。
菓子パンにカフェオレ、サラダ…と、冷凍コロッケとエビフライを買った。
エビフライは2つ買ったが、ひとつは太刀川さんに請求する分。
きちんと紙に書いて請求しないとな。
太刀川さん、割とそこらへん適当だから。
コンビニを出、ついでに買ったみかん味のアイスを食べながら寮へと向かった。
コロッケをあげてパンにはさみ、コロッケパンを作った。
我ながらうまい。
買ってきた食品をテーブルに並べ、まさに理想の朝ごはんを目にしていた。
コロッケパンをもしゃもしゃと食べながら俺は今日何をするかを考えた。
「う〜〜ん…ゲームは全部やりつくしたしテレビも面白くねぇしBlu-rayもたいしたのねぇし課題は………めんどくせぇし」
まずい、やることがない。
同級生は今授業中だから話せねぇし…。
「あーもうクソクソ。学校休めるからいいかと思ったけど全然よくねえ」
太刀川さんめ…減刑するならいっそ無罪にしてくれよと身勝手なことを考えながら書き置きされたメモを見た。
太刀川画伯の哀れな自画像の近くの隅が折り曲げられていた。
本当にすこーしだけ。
好奇心でメモをめくると、
『外出許可が出てるのはここから半径800m以内だからな。外部施設の利用は認められてないから気をつけろ』
と、妙にクセのある汚い字で綴られていた。
800m以内は出てもいいってことか。
…でもこの基地は本部からも離れてるし周りには何もない。
あるのはさっきのコンビニくらいだ。
さすがにコンビニで立ち読みはしんどい。
俺は「結局振り出しかよ…」
と落胆し、せめて何かないかとスマホのマップを起動してみた。
が、半径800m以内には、本当に何もなかった。
「くそ…」
太刀川さんのメモを手に取り、
「ほんと、使えねーよなぁ…」
書かれた文章を読み直した。
『外部施設の利用は認められてないから気をつけろ』
「………………?」
外部施設?
じゃあ、ボーダー本部は?
俺はボーダー隊員だからボーダー本部は外部じゃない!?
俺は目を見開き、
「それならそうと早く言えコンチキショー!」
と飛び上がった。