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「ま遠くの」「又あふと」

第1章 武士とは


武士が戦の為に旅立つなら、帰る事など考えてはならぬ。
ただ、己の信念を守る事だけ考えていれば良い。「帰りたい」など戯言だ。
ずっと、そう思ってきた。

「しばらく宇宙へ行く」
そう言った時、は少しだけ怒ったような顔をした。
「行くなって言っても、行っちゃうんでしょう」
そう言われた拙者は、苦笑するしかなかった。
『帰る』と約束は出来ない。武士とはそういうものだ。それに拙者の大将は、世界相手に喧嘩を売っている様な男だ。近頃少し、丸くなったようにも思うが。
「待ちますからね私。万斉さんが待てって言ってくれなくても、勝手に待ちます」
頬を膨らませて言うに、拙者は何も言えなかった。
「行って来る」の後に口に出来る言葉に「ただいま」以外あるとは思えぬ。
だから、黙ってその尖らせた唇に口づけをして、愛おしいその体温をこの身に焼き付け、背中を向けて来た。
そして今…。
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