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親友を取った男の部下に堕とされました

第8章 堕ちる


時計を確認してそう宣った月島。3時間…そんなに長い間、俺はあんな思いに耐えてたのか?俺すげえ。…まあ、結局耐えきることはできなかったけど…。月島が俺の手錠を外した。うわ、手首に赤い痕ついてる。擦れまくったせいか、結構痛い。
「もう夜も遅い。家まで車で送ってやろう」
「今何時ですか…?」
「それは答えられない」
「何で」
「この建物の場所を知られるとまた同じ目に遭ってもらうことになる可能性が非常に高いからだ。俺としても同じ相手に何回もしたくないし」
「なんですかそれ。ここがどこかなんてもうどうでもいいので時間だけ教えてもらえません?」
「深夜だ」
「…」
ち、と胸中で舌打ちをする。本当にこの建物の場所なんかどうでもいいのに。知ったところで俺にはもう何もできないじゃないか、『約束』したんだから。

『─ザザッ──「本当に江渡貝くんが我々に協力することに対して文句を言わないって約束するんだな」─ザザ───「する゛!やく、そく、する゛からぁ゛ッ」──ザ─ザ──ブツッ』

不意にノイズ混じりの声が聞こえた。
「な、なんですか今の…っ」
「証拠音声だ。言った瞬間はお前も錯乱気味なようだったから、念のため一度聞かせておこうと思ってな」
「…錯乱させたのはアンタですけどね…」
見れば月島の手にはボイスレコーダーがある。まさかとは思うが、ずっと録音してたんじゃないだろうな。羞恥で顔を真っ赤に染めていたら、月島はそのボイスレコーダーを操作した。
「今、先程の音声を鶴見課長の携帯に送った。もう撤回はきかない」
「…」
「約束すると、君がその口で言ったんだ。守れよ」
「ううっ…」
俺は心の中で弥作に謝った。俺はあんなに弥作を守りたいと思っていたのに、こんなに簡単に…。いや、弥作からしたら俺のしようとしたことは余計なお世話でしかないか。じゃあ俺は何の為にあんな思いをしたんだ?いや、そもそもエゴであり自己満足だったんだから、そこまで気にしなくたって…でも、でも…。
ずるずると自己嫌悪に陥る。
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