第7章 Virgo
「おはよ~陽葵っち♡」
『なんで黄瀬君が居るの?』
「黄瀬君は"陽葵っちは初めての地方だから
先輩のオレが着いてくよ"って言って聞かないんだよ」
『宮城は初めてじゃないから着いて来なくてよかったのに』
「でも、もう来ちゃったっスから♪」
『邪魔しないでね』
「勿論っス」
マネージャーの車に乗って宮城までやって来た
今日は仙台城跡で撮影がある
撮影スタッフたちに挨拶を済ませ
着替えのため用意されていたバスに乗り込んだ
素早く着替えを済ませると次はメイクに取り掛かる
秋冬仕様で温かみのあるメイク
髪はハーフアップで三つ編みをし
毛先はアイロンでカールつけて華やかにしてくれた
「HiMaRiさん準備できました!!」
「陽葵っち可愛いっスよ♡」
「ありがとう黄瀬君」
バスから顔を出すとすかさず手を差し出しエスコートをしてくれた
「黄瀬く~ん♡」
「こっち向いて~♡」
噂を聞き付けた女性陣が集まり
黄瀬君に黄色い声を上げている
『ファンの子が手振ってるよ?』
「今は陽葵っちの方が大事っス」
『"ファンサービスは大事"って
社長が言ってたけど良いの?』
ウ"ッ!分かったっスと言って
笑顔で声に応えヒラヒラと手を振り返した
「それじゃ~今から撮影に入りま~す」
撮影に順調に進みあとワンカット撮れば終了となった
「う~ん・・・・・」
『どうかしましたか?』
「あぁ、なんて言うかなぁ~
もう一つ何かが足りないんだよね~」
小首を傾げて撮影された画像を一緒に眺める
「オレ一緒に写りたいっス!」
「ダメダメ!黄瀬君だといつもと一緒になるだろ?
黄瀬君に負けない様なイケメンいないかなぁ?」
イケメン?そういやここ宮城だけど
流石にここにいないよね?
チラリと撮影を見に来ている人に目を向けると
一際目を引く集団が居た
『あの・・・知り合いが居たので
撮影の協力お願いしてきましょうか?」
「「知り合い??」」
座っていた椅子から立ち上がりスタスタと
集団の方へと歩いた向かった