第8章 餓え
ガイタス:「…。マルク。お前の気持ちは良く分かった。お前が害を加えられない限り、俺は勝手な行動はしない。だから、落ち着いてくれ。」
マルクから目を逸らさず、無駄な抵抗もせず話すガイタスを見て少し考え込んだ後、さっと身を引き、マルクは静かに口を開いた。
マルク:「……自分でも、気持ちの整理がついていないんだ。こんな感情を生きてきて感じたこともない。あの時、何故か失うのが怖いと、そう思ったんだ。」
瞼を伏せて、行き場のない感情を吐露するその姿は、今は亡きガイタスの主と被って見えた。
ガイタス:「……マルク、お前は御父上のファルド様によく似ている。」
マルクは顔を上げ、「父に…?」と不思議そうな顔を向けた。
ガイタス:「あぁ。きっと、お前のことをこの先も守ってくれる。お前が大切だと思っている人たちのことも。」
お互いの視線は壁に掛けられた細かい装飾が美しいソードへと向けられていた。