第6章 不死の華 「前編」
風が冷たい明け方。
一人薬草を採取しにキサラは森に入っていた。
キサラ:「見たことのない薬草ばかりだわ……。調合書があればいいのだけど、ここにはないし。どうしよう。」
キサラが一人で考え込んでいると、どこからともなく聞き覚えのある声が聞こえた。
「それは絶対素手で触ったらだめだ。」
驚いて後ろを振り向くと、勢いよくその人物にぶつかってしまった。
キサラ:「ご,ごめんなさい!驚いてしまって…。お怪我はありませんか?……。って、あら、マルク?」
マルク:「……。君は少し落ち着いて動かないと危険だ……。」
と彼がボソッとこぼした。
「へ?」と聞こえなかった様子のキサラにマルクは「何でもないよ」と答えた。
そっとマルクがキサラの足元に咲いている花に目を落とした。
その視線に気づいたキサラはマルクに「この花は…?」と聞いた。