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ハリー・ポッターと龍宮の姫巫女

第18章 姫巫女と禁じられた森


 ゆらゆらと揺れるランプが見えなくなって、マルフォイはギュッと拳を握りしめ、ハグリッドを呼びつける。

「おい、ハグリッド。僕は森へは行かないぞ」

 声が震えている。きっと、マルフォイも恐ろしいと感じているのだろう。いつもあんなに偉そうなのに。

「ホグワーツに残りたいなら、行かにゃならん。悪いことをしたんなら、その償いをせんとな」

 冷たく突き放すハグリッドに、マルフォイはキッとハグリッドを睨みつけた。

「森に行くのは召使いの仕事さ。生徒にさせることじゃない。同じ文章を何百回も書き取りするとか、そういう罰だと思っていた。もし、僕がこんなことをするってパパが知ったら、きっと……」

「きっと、これがホグワーツの流儀だってそう言い聞かせるだろうよ」

 マルフォイを遮ってハグリッドは続ける。

「書き取りだって? それが何の役に立つ? 役に立つことをしろ、さもなきゃ退学しろ。お前の父さんが、お前が追い出された方がマシだって言うんなら、さっさと城に戻って荷物をまとめるんだな! さぁ、行け!」

 怒鳴りつけられた言葉にマルフォイは動かず、ただハグリッドを睨みつけていた。
 しかし、やがて観念したように視線を逸らす。それを確認し、ハグリッドは小さく息を吐いた。

「よーし、それじゃ、よーく聞いてくれ。なんせ、俺たちが今夜やろうとしていることは、危険なんだ。軽はずみなことをしちゃいかん。しばらくは俺について来てくれ」

 ハグリッドが先頭に立ち、森の外れまで先導してくれる。
 ランプを高く掲げ、彼は暗く生い茂った木々の奥へ行き、曲がりくねった獣道を指さした。

「あそこを見ろ。地面に光った、銀色のモノが見えるか? 一角獣(ユニコーン)の血だ」

「ユニコーンの……」

 呆然と繰り返すシオンに相槌を打ち、ハグリッドは続ける。
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