俺がヒーロー目指しちゃダメですか【おそ松さん×ヒロアカ】
第2章 黒の世界
そういえば、と思いつく。
部屋に入ってすぐに頭に思いつくのが学校のことだった。
別に虐められているわけではないし、友達というのは
いないけど結構充実した学校生活だった。
ただ、自分の個性のせいか怖がられることは多かったが
極道ということがばれなかっただけでもよかった。
ただ一つ、問題になっているのは
[ 進路、どうするんだ、松野。]
[ だから俺は高校へは行きません ]
[ 行かないって…学校トップの成績の奴が言うことか。
それにお前なら推薦だって… ]
[ 俺の、自由にさせてください ]
『進路、かあ…』
行きたい学校が、ないわけではない。
でも願っていける学校でもなく
俺の家柄を考えると挫折せずに終えない学校だ。
一「なに?お前、進路困ってんの?」
『うわっ!一松兄さん!!』
一「ヒヒっ…そんな人を化け物をみたような目で見ないでよ」
ニヤリと笑ってみせたのは、紫の着物を着て腕に猫を抱く一松。
猫を撫でながら松璃の机の上に無造作に置かれた進路希望用紙を
見た。そして、紫色の瞳を細めた。
一「…どこに行きたいとかは勝手でいいんだよ。
僕だって今はここで働いてるけどさ、最初は医者になりたくて医学免許取ったわけだし。」
『…僕には行きたい学校なんてありません』
一「……そ。でも、ここは極道だからってお前の言葉を
無視するような、冷たい場所じゃないよ。だから我慢する必要はないから」
いつも気だるげな顔は少しだけ微笑んでいて、
ゆっくりと末っ子の頭を撫でた。
【雄英高等学校】
そう書かれて、しかし消された跡のあるその紙を
一松は眺めた。