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覇者×ト×敗者

第1章 初メ×ノ×始メ


「あんたまた婆様の授業を抜け出してつまみ食いしてたんだって?」

婆様の授業を抜け出して、芋をくすねに調理場へ駆け込んだ私を待ち受けていたのはエッダという名の姉様だった。
エッダ姉様は一二を争う美女(戦闘能力含む)だ。
後ろに撫で付けられた短い銀髪、意志の強さを物語る凛々しい瞳。
カッコいい分睨まれるとかなり怖い。

「エッダ姉様…」

「さっき母様から昼食用に用意しておいた肉が消えたから、犯人を探してくれって頼まれたんだけど十中八九あんただろうと思って張り込んで正解だよ。 今度はなにをくすねに来たんだ?」

「い、芋が食べたくて…」

「お昼時間まで駄目だ。 さっさと婆様の所へ戻って真面目に授業を受けるんだ」

ここには序列が存在し、最高位から順に長老(婆様)、母様、姉様、そして妹である私だ。
母様は出産を経験した女性、姉様は子どもを授かることが可能な妙齢の女性、私を含む妹達はただの子どもである。
つまり、自分より上位に位置するエッダ姉様の言いつけは絶対である。

「はーい…」

「そんなに落ち込むな。 芋なら私の分もやるから」

「エッダ姉様っ「代わりに肉をもらうけどな」……」

がっかりする私を尻目にはっはっは!!と豪快に笑うエッダ姉様を恨めしそうに見つめるが、この様なやり取りは何時ものことであり、そして今日で最後だった。
エッダ姉様は昼食後、他の姉様達と共にこの村を発つからだ。
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