第25章 ドキドキ×ワクワク×試験管補佐
『うッ』
「説明してもらおうか」
胸倉を掴まれ持ち上げられる。
「ニーナ! ちょっとあんた、彼女を離しなさいよ!」
ポンズがキッと男を睨みつけるが、全く動じていない。
私も何が起こっているのかさっぱりだ。
いつもなら「離せ!」と言って蹴り飛ばすところだが、それでこの状況が変わるとは思えない。
置いてけぼりにされて混乱している。
残された関係者である私に説明を求めるのはもっともだが、生憎私も状況を掴めていない。
「ニーナを離してよ!」
「そんな手荒なことする必要ないだろ」
「同感だ」
ゴン、レオリオ、クラピカの声にも男は反応を示さない。
とりあえず一旦落ち着いてもらう必要がある。
この状況から皆の気を逸らさなければ___
目の前の男をジッと見つめていると、ふとある疑問が浮かんだ。
『……なんで、髪がないん……?』
「はぁッ!?」
「ぶふッ」
「うわぁ、真顔でそんなこと聞くやつ初めて見た」
レオリオが噴出し、キルアが驚いている。
男は狼狽え、反射的に私を離した。
『申し訳ないですが、私はあの飛行船について何も知りません』
「ニーナがあの飛行船について知っていたのであれば、彼女もここに取り残されてはいないだろう。 彼女を責めるのは間違っている」
クラピカのおかげ、皆が疑いの眼差しで私を見ることはなくなった。
このまま部屋へ戻る気になれず、皆そのまま甲板で夜を明かした。