第25章 ドキドキ×ワクワク×試験管補佐
バナーさんも自室に戻ったので、自由時間をもらった。
レオリオを探していたが、どこにも見当たらない。
窓から外を眺めていると、夕日に照らされて魚を焼いているゴンとキルアの姿が見えた。
2人を邪魔しちゃ悪いと思いつつ、ゴンと少し喋りたい欲求が勝り気付いたら彼らのもとへ足が進んでいた。
『良い匂い』
「ニーナ! ちょうど魚が焼けたんだよ。 はい、これはニーナの分!」
私の分も焼いてくれてたんだ。 来てよかった……
『ありがとう』
ちらっとキルアに視線を向けるが、無反応。 仲良くなるには時間がかかるかな。
「はい! キルアの分!」
「サンキュー……うッ、目、目が……」
「ん?」
ゴンから魚を受け取ろうとしたところでキルアが固まってしまった。
目がどうかしたのかと、ゴンが何気なく魚の向きを変えると、ギョロっとその目がキルアに向いた。
「うわッ、今こっち見たぜ! ソイツ生きてる……うッ」
口を押えて肩を震わせている。
魚の丸焼き食べたことないのかな?
『美味しい!』
さすがゴン。 申し分ない焼き加減だ。
キルアも魚と目を合わせないように注意しながら恐る恐る食べている。
その姿が少し面白くてつい笑いそうになるが、今笑ったら仲良くなるのは絶望的になるだろう。
必死で笑いをこらえる。
美味しい魚をいただいた後、ゴン達は船内を探索しに行くと言った。
特にすることもなかったので付いて行こうと思ったが、船内へ戻る途中で見覚えのある姿を見つけた。
「あ、レオリオだ……ゴン! ごめん私レオリオと約束があるからまた後でね」
『分かった!』
ひとつの難破船の中へ入って行ったレオリオの後を追うと、クラピカも中にいた。
クラピカの表情は見えないが、その背中から負の感情が溢れているのを感じる。
声をかけるべきか否か悩んでいると、レオリガ私に気付いた。
「ニーナ」
『ごめん、出直すね』
「いや、いい……直ぐに終わる」
そう言ってクラピカが船に火を放った。
なぜそんなことをしたのか、気になるが気安く聞いて良いことじゃないのは私でも分かる。
船が燃えるのを静かに見守っていると、クラピカがポツリポツリと話し始めた。
クルタ族のこと、緋の目のこと、幻影旅団のこと___