第25章 ドキドキ×ワクワク×試験管補佐
見上げると首が痛くなるほどの高さ。ハンター協会本部。
中に入ると見覚えのある人物が出迎えてくれた。
「ニーナさんお久しぶりです!」
『ビーンズさん!』
「試験管補佐を引き受けて下さってありがとうございます。 早速ですが、試験が行われる場所へ行っていただきます。 受験生の皆さんも今向っているところです」
『分りました』
「あ、注意事項などはちゃんと読まれましたか?」
『え、あぁッはい!』
……読んでないなんて言えない。
後回しにしていたら当日を迎えてしまったのだ。
ビーンズさんと他愛もない会話をしながら案内してもらったのは、屋上に泊めてある飛行船。
「手紙に書いてあった通り、今回はハンター試験のボーナスステージと、四次試験で試験管補佐をしていただきます。 ボーナスステージでご一緒するご夫婦は一般の方なので、ニーナさんには彼らの護衛もしていただきたいのです」
『護衛ですか?』
「はい。 受験者の中には少々短気な方もおられますので」
『分りました』
「よろしくお願いしますね。 それでは行ってらっしゃいませ」
『行ってきます!』
飛行船に乗り込むと直ぐに出航した。
窓を覗き込むと、ビーンズさんがヒラヒラと手を振っている。
私も彼の姿が見えなくなるまで振り続けた。
「貴女がニーナさんですかな?」
『え? あ、はいそうです』
不意に背後から話しかけられ、振り向くと老夫婦がそこにいた。
「今回軍艦島にてご一緒させていただくバナーと申します。 こちらは主人のジナーです」
「ニーナさん、よろしくお願いします」
『こちらこそ宜しくお願いします』
その後、ご夫婦とお茶を飲みながら、島へ到着した後の流れを打ち合わせすることになった。
ほぼ試験とは関係ない雑談だったが。
その約1日後、巨大な船が岩肌にめり込んでいる島に到着した。
『うわぁ、大きな船』
“軍艦島”に着いた頃、辺りはすっかり暗闇に包まれていた。
「明日には受験生達が到着するそうですよ。 今日はしっかり寝て明日に備えましょうかね」
『そうですね』
こんな大きな船は初めて見たので中を見て回りたかったが、バナーさんの言う通り、明日に備えてもう寝よう。
明日はゴンに会えるかもしれないと思うと、楽しみでなかなか眠れなかったけど……