第2章 以外×ナ×相手
ナタリーが身支度を終え、他の船員と合流した私達は町へと繰り出した。
「ナタリーはまたあの子とデートするの?」
「ホント、変わってるわ〜」
「マニアね〜」
「?」
どうやらナタリーがデートする相手のことを話しているらしい。
どういった人物なのだろうか。
「いいじゃない! とっても純粋で、すっごく癒されるんだから!」
ムキになって言い返すナタリーに、皆は可笑しそうに笑う。
「おーい!」
しばらく歩くと、少し先に男がこちらに向かって手を振っていた。
「久しぶりー!」
どうやら船員の一人の知り合いらしい。
それよりも___
「あれが男というものなのか……」
無造作な髪に、平な胸元。 うむ、姉様から聞いた基本的な特徴と一致する。
男という生き物を観察するのに夢中になっていたら、いつの間にか他の船員達は消えていた。
どうやら皆それぞれのデートをする相手を見つけて遊びに行ってしまったようだ。
「ナタリーのデート相手は?」
そう、ただ一人、ナタリーはまだ私の横にいた。
「待ち合わせ場所はここじゃないから。 もう少し歩くよ」
ナタリーについて行って数十分後。
森と町の境界に辿り着いた。
「あ、ナタリーお姉さん!」
「久しぶり! 元気だった?」
「うん! お姉さんも元気そうだね!」
「……子ども?」
そう。
ナタリーが声をかけたのは、子どもだった。
座っていた木の枝からヒョイっと飛び降りたその子は、人懐っこい笑顔を浮かべている。
「今日は友だちを連れてきたの。 ニーナよ」
「ニーナです」
まさか、この子がナタリーのデート相手……?
船員達が先ほどナタリーについて言っていたことが、今分かった気がする。
「初めましてニーナお姉さん! 俺の名前はゴン! ゴン=フリークス!」
「初めまして、ゴン」
子どもとはいえ、初めて男と会話を交わした記念すべき瞬間だった。