第24章 亡失した故郷
_____“アマゾネス”
最初聞いた時はピンとこなかった。
でもあの写真を見た時、とっくの昔に忘れたはずの記憶が呼び起こされた。
いつも薄暗い場所にひとりでいて……
それから……それから、誰かが来るのを待っていた気がする。
でも、顔も名前も思い出せい。
確かなのは、その子と話すのは楽しかったこと。
写真に写っていた女が誰なのかは全く知らない。
それなのに……昔から知っているような気がするのはなぜだ?
オレの母親が着ていた衣服にとても似ていた。
母親を思い出したから他人とは思えなかったのかもしれない。
「なんで今頃思い出しちまったんだよ……クソッ」
気が付いたら流星街へ来ていた。
思い出したくなかった。こことは別の故郷があったなんてことを。
そこにいた時の記憶はかなり断片的でうろ覚えではあるが、懐かしさを感じる。
この感情が不愉快極まりない。オレ達を追い出した連中の故郷を懐かしく感じるなんて……
母親はそれに対して恨んでいるような感情は抱いていなかった。
オレと一緒に居られることが幸せだからと。
彼女達を恨まないで欲しいとも。
流星街の連中はオレ達を歓迎してくれたが、母親にとっては酷な環境だったと思う。ここへ来て数年も経たない内に死んだ。
幸せだと言っていたのに……
日に日に弱っていきながらも、オレがひとりで生きていけるよう色んなことを教えてくれた。