第21章 不吉×ナ×予知
「_____“叫び”!!」
「やっと思い出したか」
隊長の掌底打ちを食らった後、皆の前で盛大に吐いてしまったのは良い思い出だ。
「あの時は本当にありがとうございました」
ジェンのお陰で私の鼓膜が守られたんだっけ。
良く私を罵倒してたけど、いつも助けてくれた。
なんだかんだ言ってジェンは私のことが大好きなんだろう。
「“叫び”を防ぐことはほぼ不可能。どんなに強い相手でも隙ぐらいは作れるだろう」
「ありがとう!!」
彼女達は天空闘技場へ来るのが目的だった。
しかし、天空闘技場で戦うのをエッダ姉様がよしとしない。
既に念が使えるセラでも、姉様がここにいたら絶対に行かせないと思う。
躊躇いなく人を殺す狂人や、勝つために汚い手を使う輩が大半で、私達が求める強い男を探すには不適切な場所である。
私が天空闘技場でヒソカと戦うのも条件付だ。
姉様が何故行かせたがらないのかを話したら、2人は直ぐに分ってくれた。
「……ニーナ、あの、」
セラは暗い表情で私を見つめる。
私が天空闘技場である人と戦うと聞いて、あの光景を思い出したのだろう。
「首に気をつけて」
「うん、分った。心配してくれてありがとう」
村を出た時と同じ様に、拳を作ったお互いの腕を交差させて別れの挨拶を交わし、その姿が見えなくなるまで見送る。
この街での用が無くなってしまった彼女達はもう街を発つだろう。
故郷を出て、皆と別れた時は辛くも寂しくもなかった。
またいつか故郷へ戻って皆と暮らせると思っていたから。
でもそんな未来は来ないかもしれない。
だからこんなにも別れを辛く感じるのかな……