第2章 以外×ナ×相手
魔境を抜け出た先には、海が広がっていた。
母様達や姉様達から聞かされていた海が、今目の前に広がっていた。
どうやら私が進んだ方角は港町に続いていたようだ。
聞いていた通りの塩の香りとさざ波の音がなんとも心地良い。
しばらく海を眺めた後、乗る船を探す。
「あの船しかないか」
港に停泊していた船は一艘しかなかった。
「おお! これが船というものか!」
船に近づくと、乗組員らしき人達が見えてきた。
「荷物積み終わったー?」
「積み終わったよー!」
「すみません」
船に近づき、近くの女性に声をかける。
「なにかしら?」
「船に乗りたいのですが…」
「これ漁船よ。 目的地はどこなの? 」
「目的地はありません」
「え?」
「ナタリー! その子はアマゾネスだよ。 さっさと乗せてやんな」
「は、はい船長!」
ナタリーと呼ばれた女性に、船長の元へと案内された。
歳は、母様達とおなじぐらいだろうか。
「アマゾネスを船に乗せるのは何年ぶりだろね〜」
「以前にも乗せた事が?」
「何回かあるよ。 でも、港も複数あるし、私達もこの港に頻繁に寄るわけじゃないから偶然が重なった時だけだけどね」
「では、私は幸運ですね。 お世話になります、船長」
「あんたみたいな素直な子は珍しいよ! 歓迎する。 ただし、これは観光船じゃなくて漁船だ。 手を貸してくれるかわりに朝昼晩の飯付きで 船賃は結構だ。この条件でどうだい?」
「よろしくお願いします!」